最高裁平成26年3月24日判決・労働者がその精神的健康に関する情報を申告しなかったことを原因とする過失相殺を認めなかった事案

●最高裁平成26年3月24日判決

●判タ1424号95頁
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=84051

●自らの精神的健康に関する情報を申告しなかった事案において,過失相殺を認めず,原審の判断を破棄し,差し戻した

・労働者の業務の負担が相当過重なものであった
・労働者の「精神的健康(いわゆるメンタルヘルス)に関する情報は,神経科の医院への通院,その診断に係る病名,神経症に適応のある薬剤の処方等を内容とするもので,労働者にとって,自己のプライバシーに属する情報であり,人事考課等に影響し得る事柄として通常は職場において知られることなく就労を継続しようとすることが想定される性質の情報であった」
・「使用者は,必ずしも労働者からの申告がなくても,その健康に関わる労働環境等に十分な注意を払うべき安全配慮義務を負っているところ,上記のように労働者にとって過重な業務が続く中でその体調の悪化が看取される場合には,上記のような情報については労働者本人からの積極的な申告が期待し難いことを前提とした上で,必要に応じてその業務を軽減するなど労働者の心身の健康への配慮に努める必要があるものというべきである」
・健康診断における自覚症状の申告,周囲の同僚からも体調不良が窺えていた事実,上司に対する体調不良の申告,業務軽減の申出があり,使用者も認識し得る状態にあった
・「その状態の悪化を防ぐために上告人の業務の軽減をするなどの措置を執ることは可能であったというべきである。これらの諸事情に鑑みると,被上告人が上告人に対し上記の措置を執らずに本件鬱病が発症し増悪したことについて,
上告人が被上告人に対して上記の情報を申告しなかったことを重視するのは相当でなく,これを上告人の責めに帰すべきものということはできない。」